私の嫌いな女

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 次に私がとった行動は裏アカウントを作ることだった。裏アカウントとは、明るく前向きな投稿をするのではなく、本音を吐き出すアカウントのことだ。  アイドル界隈の裏アカは、彼らの言動に対しての苦言や、スキャンダル話、表界隈の頭のゆるいファンに対する嘲りなどで溢れ返っている。  投稿内容は様々だが、こちらはみんな取り繕うことなく常に本音で話しているので、その中での論争は皆無だし、みんなサッパリとしていて私は嫌いじゃない。  とはいえ、今までは見ているだけだったので、私は新参者だ。いきなり信子の投稿を晒しても思うような効果は得られない。  だから暫くは当たり障りのない投稿をし、少しづつネットワークを広げていった。1ヶ月くらい経つと、そこそこフォロワーも増え、その中には裏界隈のボス的存在もいた。彼女が私の投稿を目に留め拡散すれば、それはあっという間に何万もの人の目に触れることとなるだろう。  そして私は満を持して信子の投稿を晒してやった。呆れたことに信子は自撮りまでアップしていて、私はその写真つきの投稿を晒しあげてやったのだ。 『50近いのにこんな写真アップして恥ずかしくないんでしょうか?この人、いっつもT君の腰つきが~とか下品な投稿ばかりしてて呆れてしまいます』  無論、アカウントと名前は見えないように加工した。だが、信子の投稿内容を検索すれば、誰だって簡単に『のん』に辿りつける。
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