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「いだっ、いだだだ! ちょ、ちょっとやめてよフリーター! 女の子の髪を引っ張るだなんて……全部抜けて円形脱毛症になったらどうするのさ!」
「植毛とかいいと思うよ俺は」
「その時はお金くれるの?」
「自分で払え」
ブーブー文句を言うリオネのアホ毛を引っ張るのをやめた俺は冷蔵庫にしまったばかりの廃棄の弁当を一つ取り出して電子レンジで温め始める。
これ食ったら少し寝よう。また明後日も夜勤入ってるわけだし。別に眠くないけど
寝ておこう。
「……ねぇ私の分もあっためて」
「やなこった」
「ケチ!」
朝八時からバタバタと手足を動かして不満を露わにする近所迷惑の塊と化してるリオネを無視してぼーっと電子レンジで温まっていく弁当を眺める。
「……あ…………ねぇ、フリーター」
「なに? 弁当ならじぶんであっためろ」
「この近くにいるんだけど、早く準備してくんない?」
「え……やだ」
服かなにか買いに行くから車出してくんない? みたいな感じでなに言ってんのこいつ。いま弁当温めてるの見えてないのかな。
「よし早く行くよ! あ、もちろんいつもの感じね、そこは外せない」
「え? あの、嫌って俺言ったと思うんですけど」
「はーい強制でーす」
リオネがふざけたこと抜かしたのとほぼ同タイミングで電子レンジの温めが終わる合図が台所に響く。
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