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財力強い
トカゲさんがノックをした後ゆっくりと扉が内側に開く。徐々に開かれる扉に僕は緊張を隠せなかった。一体どんな方なのか気にならない人はいないだろうが目の前に見えるのは茶色で平均より少し太り気味の大きなお腹だけだ。
恐る恐る顔を上げてみると縦に長い楕円形をした茶色でクルクルとした羊の様な角が生えていた。思わず腰が抜けてしまったがこれは不可抗力だろう。
「トカゲさん僕お相手の種族を聞いていないのですがタンペルトさんは何族なんですか?」
ガタガタ震えながら問うとケロッとした顔で
「ご本人に聞けばいいでしょう。タンペルトさんは目の前にいらっしゃいますよ。」
予感はしていたがまさか当たってしまうとは。流石に鬼が嫁なんて洒落にならないな。ホントの鬼嫁だし。
「タンペルトさんこんにちは。僕は小谷田棟梁(こなたとうり)といいます。失礼ですがタンペルトさんは何族の方ですか?」
声を震わせながら喋った言葉はなかなかにかっこ悪くて自分でも笑えてしまう。
するとタンペルトさんはこちらに手を伸ばしてきた。どんどん大きな手が伸びてくる恐怖にかられた僕はとうとう気絶してしまった。慣れない土地で散々振り回されて悩みの種になっているのはわかっているが頑張ろうとすればするほど空回る。警備兵さんや他の仲良くしようとしてくれた人たちのおかげで今までなんとかやってきたがこちらに来てから全然眠くならないから疲れがピークに達したのだろう。惨めだよな保証人を決めるために来たのにぶっ倒れるなんて……今回も失敗かな。また……迷惑をかけ……ます。
…………ん……な…………さ………い。だ………………………………ぼ…………。………そ………………………に……………べ。
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