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「今ムカつく顔だなって思ったでしょ~、お見通しよ? 」
――――くっ!
「分かった分かった! 降参! 海斗とはなーんにもないよ」
「マジで? あのヘタレめ。メリコに惚れてんの見りゃわかるってのにな~」
「メリコ言うな」
海斗は2つ歳上のド真面目人間だ。昔から引っ込み思案というかなんと言うか、インドア派を絵に書いたようなガリ勉君。そしてエリート街道まっしぐら。家が近所じゃなかったら絶対に住む世界が違ってただろうなぁ。
「あれぇ、本当に何にも無いの? 連絡とか」
「無いよ。なんでそんな念押しすんのよ」
「うぇ?いやぁ? だって気になるじゃないの~」
気になるねぇ……。
大体楓がこういう時は何かを隠しているってのがお決まりのパターン。
楓はスマホ片手にアイスコーヒーをすする。また新しいゲームでも始めたのかねぇ。
「ま、今年の誕生日は開けておきなさいなぁ、サプライズパーティーするからねぇ~」
「言ったらサプライズじゃ無いでしょうが」
「内容はサプライズだから良いの~」
そういうもんなのだろうか、そうなのかな。そうなのかも。うん。絶対違うね。
しかし、楓は必ず誕生日と言ってくれるのだ。クリスマスじゃなくて。本当は自分の予定もあるだろうに。
「どうせその日は暇だしね……」
「あっ……うん……」
うん。自分の予定、無いみたい……。
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