4人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁそれはともかく楓、今年はどこで飲むのよ」
「秘密よ~秘密、お楽しみにぃ~」
「毎年そう言ってるけど、結局いつも通りじゃない。どうせフェンリルでしょ?」
フェンリル、私たちの行きつけのバー。毎週一回は行く大人のオアシス。最近は新しいものが怖くなってきたのよね。いつもと同じ、いつもの場所が一番落ち着く。まだ25なのにどっと老けたような気がする……。
「そりゃアンタだけよ」
「心を読むな!」
「以心伝心って奴よ~」
「一方通行な気がするけどね」
「照れるなよ~メリコ~」
「照れるどころか怖いわ! あとメリコじゃない!」
そんな中、咳払いの音が私の真後ろから聞こえてくる。嫌な予感しかしない。
「君達が祝ってくれるのは嬉しいんだけどね」
うーん聞き覚えのある低い声。
「申し訳ないが、堅物からのプレゼントだ。チェックと整理を頼むよ」
私と楓、そして後輩の机の上にドサッと紙の束が置かれてしまう。ちくしょうめ!
「「「ええええぇぇぇええ」」」
「大丈夫、君の誕生日までには大体の仕事は片付けるさ。私にも大切な日になる予定だからね。半分はもう片付けたから、あとは頼むよ」
――――――――君の誕生日ねぇ。やっぱこの部長やり手だわ。やる気ができちゃうじゃないの。
最初のコメントを投稿しよう!