黒板消し

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 肩が小刻みに震えてくる。興奮と緊張が綯い交ぜになって、心臓がバクバクする。  この声……間違い、ない。  吉田くんだ。  背が高くて目立つけど、いつも無口で、人とも距離を置いていて、何を考えているか分からない吉田くん。  でも、なぜか気になって視線が追いかけてしまう。  それはきっと、たった一度だけ彼が笑うところを見たから。休日、弟らしき子と一緒にショッピングモール歩いてるとこ偶然見かけて、優しい笑顔で話しかけてた。  あんな顔、出来るんだって、思ったら…… 『私にもあの笑顔を向けて欲しい』 そんな風に、願うようになった。
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