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「なにそれ、聞いたことねぇ」
あ、笑った……
間近で見た吉田くんの笑顔は、モールで見たときよりももっともっと輝いて見えた。
「ほ、ほんとに言われてるの! お、女の子はそういうこと気にするんだから……」
吉田くんとの初めて交わしたまともな会話が『便秘』とか恥ずかしくて、頭が混乱しながらも、冗談で言ったと思われたくなくて必死に弁解した。
「そっか、ごめん。
ちっこいなって思ったら、思わずやりたくなって」
吉田くんが、そんなこと思ってやるなんて、少し前までは想像すら出来なかった。もっと、私の知らない吉田くんを知りたくなる。
「今度、黒板消すときは俺に声かけろよ」
吉田くんはそう言って、立ち去っていった。
ねぇ、吉田くん。
黒板消す以外でも……声かけて、いいかな?
彼の背中から、目を逸らせないでいる私がいた。
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