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『BREATHTAKING ARTS』2013年6月号 より引用
ブラックライト・ブロンズベリーは
闇を描く画家であり、
闇に魅せられた画家であり、
闇に魅せられた者を魅せる画家である。
『砂糖菓子』『雨傘』『ダブル』『贋作と死神』『白』『鐘』『正義』等を代表作とする彼の作品は決して大衆から評価を得るものではなかったが、一方で一度、どれかの作品に共感を覚えてしまえば、たちまち魅了の域にまで惹きつけられてしまうという。
彼は十八歳にして英国最大手の美術雑誌内で佳作を受賞して以来、それ以上の称賛を受けずとも、確実に作品を掲出する機会を持ち続けた。
彼の絵を観た者はその世界観を《闇》だと評価する。
しかし彼自身に積極的に闇を描こうという意図はなかった。彼にとっては、闇という概念は、光と影の分量による結果でしかなかった。
それどころか彼にとっては、作品の題名やテーマなどまるで意味がなく、伝えたい事柄も総じてなかった。出来上がりさえよければ、という結果論を掲げるつもりは毛頭なく、冷めている、という訳でもなく、ましてや虚無主義や相対主義でもなかった。
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