裏路地の奥は夢の中

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「ねぇ、中間君ちょっと待って!」  明るい女の子の声が階段を下りる男の子を呼びとめた。  彼は聞き覚えのない、その声の方向に反射的に振り返る。  大窓から差し込む夕陽のせいで顔に影がかかっていたが、かわいい子だった。彼女は軽やかな足取りで階段を駆け下り、彼の隣に並ぶ。 「引き留めてごめんね。ちょっと頼まれてほしいことがあるんだけど。いいかな?」  屈託のない笑顔を向ける彼女を見ても、やはり彼は怪訝な顔のままだ。  彼も女の子との付き合いがないわけではない。 だが、異性との交友関係は自分のクラスと部活の中のみでそのメンバーの中に彼女の顔は当然ない。  モテるタイプでもないので、彼女の用件が告白の類ではないことは当然想像はついた。  となるとこの明るい他クラスの少女が、自分に頼みごとをする理由が本当にわからない。  少し興味を惹かれた。中間はぶっきらぼうに答える。 「話は聞くけど、その前に。ごめん誰かな、クラス違うよね?」 「そっか、自己紹介まだだったね。私は遠洞透、一組だよ」  彼女は彼を見つめながら続ける。 「放課後暇なら一緒に行ってほしいところがあるんだ。夢の街って言うんだけど・・・」 「なんだディズニーランドか。ごめん、人混み駄目なんだ。でもそれなら友達と行ったほうがいいんじゃない?」 「いや、それは国だから!街だよ、街!あれ、噂知らない?中間君あんまりネット見ない人?」 「まあ、SNSとユーチューブくらいしか見ないよ。あんまり流行とかもわからないし。それって新しいイベントかなにか?栄える系?」 「栄えるっちゃ栄えるけどだろうけど、インスタではないかな。わかったごめん一から説明するね」  二人は肩を並べて階段を降りる。
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