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異界の扉。怪談やファンタジーなどでは今やお馴染みのモチーフである。
それは、例えば突然現れる木の扉や湖、どこにでもある洋式トイレなど様々な形で現れる。
今回も例に漏れずにその類だったのだが、二人の想像とはまたなんともかけ離れた形だった。
「・・・これかな」
「いや、違うんじゃ・・・いや、どうだろう。これ、これなのかな?」
立ち尽くして悩む二人。
道しるべがあるとはいえ、あまりあちこち歩きたくなかった二人はとりあえず直進していた。
曲がり角や遮蔽物は特になく、すんなり進んでいたがひとつ問題が発生したのだ。遠洞の集めた事前情報にはこの暗闇の情報も街の入口となる扉の情報もあったが、肝である扉の形状についての情報がかなりあいまいなのだ。
一説によるとアーチであったり、闇の中にさらに空洞があったり、やっぱり扉(ただし、情報だと一様に扉としか記述がない)であったりとバリエーションにも富んでおり、結果二人は目を皿のようにして辺りを探しながら移動する羽目になった。
そして、テープの球が残り100メートル程まで減ったところで、ようやくそれらしいものを見つけた。
一言でいうと穴だ。最初は二人とも見間違いだと思った。
なんせ、暗闇の中にさらに濃い暗闇の穴があったのだ。階段の上の大穴と大体同じくらいのサイズである。
近づいてライトで照らすとようやく違いが分かった。光が闇の表面を照らすばかりで奥が見えない。
「ちょっと触ってみよう」
躊躇なく遠洞が濃闇に手を突き刺す。
「どう?」
「空気!・・・ってうわっ!?」
驚いて遠洞が手を引き抜く。
「どうしたの!?」
「・・・だれか・・・触った・・・」
中間も驚く。
「よし、行くよ。中間君」
放心状態だった遠洞が再起動する。細くなったテープの球を置き、またもや中間の返事を聞かずに、穴の中へ一歩踏み出す。
中間は彼女の腕をつかみ、自分から乗り出すように闇へと消えた。
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