壊して治して俺の物

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「泰成…」 「…雨まだ降ってんのか」 「風少しは弱まったかな…」 「さぁな」 「…これから…どうする…?」 「…治すよ。全部。壊したドアも傘も。勇気も」 「…?俺どっか壊れてる?」 「今日はココが壊れてる」 「…怪我しただけじゃん…」 「壊れてるよ。傷ついてるから」 俺はきっと歪んでる 「治すの好きなんだ。壊した物を治すと、自分の…特別な物になった気がして…」 壊れたお前が嫌いで それを治すと 嫌いになる前よりも 「だから…好きなんだ」 きっと 「俺には、何もないから…」 壊して 治して 「無理やり自分の物にするんだ…」 そうすれば 「…そうすれば、自分が何か持ってる気分になれるから…」 「…俺は、そういうのはよくわかんねーけど…」 そりゃそうだ わかる奴なんてそうそういない 「今の泰成には、俺があるじゃん」 「…?」 「それが泰成の特別なら、いっぱい壊していっぱい治してよ…」 「…いっぱい壊して…は、少し気が引けるなぁ…」 「でも、泰成が治してくれんじゃん?」 「…うん」 「俺も、自分に何もないって思ってた…でも…今は泰成がいる。今の俺には泰成がいるから…何もないなんて思わない。泰成も…今は俺があるでしょ?」 「…だなぁ…そろそろ帰るか」 「りょーかい」 台風の魔法かもしれない もう過ぎ去ってしまうけど 魔法の効果は過ぎ去らないように 頑張って治していこう
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