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大きなパフェでお腹いっぱい、甘いパフェで心もいっぱい。こんなにもいい思いをしたのに、これがお仕事で、経費落ち=ただスイーツなんて赦される訳がない。けど、そんな仕事がこの仕事だから、いいんですよね♪ センパイ。
創業100年? って感じの威厳を湛える、町一番の老舗カフェ『帽子屋のお茶会』を出て、後ろを歩いているはずのセンパイに話しかける。
・・・
あれ、おかしい。反応がない。
センパイは人の話を無下にシカトできるような人じゃない。アクビが出ちゃうようなつまらない話だって生真面目に全部聞くような人。だから、いつもならボクの羽のように軽薄なトークにもちゃんと反応を返してくれるのに、今日はふったフリをガン無視。合いの手一つないなんて!
いつものセンパイがそんなことをしたら、罪悪感で3日は寝込む。そんなことになったら、センパイに一部上場しているボクの株も必然的に下がる! それはヤダ!
センパイ!
振り替えると、巨大な蓄音機のような形をした『帽子屋のお茶会』の開け放たれた出入口で、広い額を赤くはらしたセンパイが誰かに電話しているところだった。間髪いれずに、ボクの電話が鳴る。
「もしもし、こちら金色のお菓子製造委員会です。なーんつってな♪」
「それ、お仕事の時にやるのはダメだよ。しーちゃん」
「大丈夫ですよー。センパイにしかやらないので。。。ところで、どうしたのですか?」
「それがね、しーちゃん。ちょっとまずいことになったちゃったよ」
「まさか」
「うん、そのまさか。エトちゃんの言ってたことは真実だったみたいね。確かに、見えない壁に遮られてるみたい。私、この店から出ることができないわ。でも、しーちゃんは普通に出れた。仕掛けもないさそう。ここまでくると確実に言えるわ。これはスイッチがらみの事件ね」
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