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何かが腐ったような匂いが篭る。 経験則からこれは数日前の昼食に由来することが分かる。 台所のゴミ袋にうず高く積もったゴミの山に中層あたりに目を向けてみるとそれがローソンのナポリタンだった。 思えばどことなくトマトソースの鼻を刺すような自己主張と尖るだけではない甘い香りがある気がする。 数日前に食べたものを想像するだけで自分の腹回りが少しばかり大きくなったような気がしてしまう。 ベルトで締め付ける横腹が痛い気がする。 気のせいなのである、ベルトの余った穴がここ数日の間に変わっていないことは確認済みなのである。 せめて飲み物だけでも健康に気を使ったものにしようと炭酸水なるものに手を出してみたのだが、それも机の上に捨てられることもなく貯めておくと高カロリーの飲み物であったかのような印象を与えてしまう。 今、遠く離れたところに住む両親と会うと「顔が丸くなったね」と言われることだろう。 髭を剃っていない顔は輪郭を捉えさせることを阻害するが、そんなものでは誤魔化せないほど太った気がする。 大学は国立大学に受かった。 浪人したとはいえ、一浪だけだったのだから十分許容範囲だろう。 高校の間は野球に打ち込んでいた。     
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