春の日

図書館

死因は失血死だった。
同居人の背中には刺し傷があり、それが致命傷だった。
凶器は刃物、そこらの店で手に入る包丁だった。
レシートから入手ルートを特定するにはありふれすぎていた。
その刺し傷の深さは明らかに殺意を持ったものであり、逃げ場を失って絶望した無防備な背中を何度もなんども、深く繰り返し刺したのだ。
その日、別の女と寝ていた。
飲み屋で知り合ったOLだった。年齢は自分より５歳くらい年上で同居人より胸が大きかった。
胸が大きいのが嫌なの、デブみたいで。
OLはそういった。
気にする必要はないと思う、綺麗だ、と伝えた。
事実、綺麗だと思った。
何を話したのか覚えていないが、目鼻立も整っていたし、胸も大きかった。
お腹も凹んでいたし、スタイルがよかった。
セックスも上手かった。
何回かイカされた、腰振りが凄かった。
また会おうね、という言葉で別れ、部屋に向かった。
その時、台所で死んでいたのだ。
顔は真っ青で、血も固まっていた。
素人でも死んでから時間が経っていることが分かった。

「すいません、人が死んでます」

その後、住所などを伝え、部屋は封鎖状態になった。
警察署に連れて行かれ、様々なことを聞かれた。