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この程度の身体を良い身体と言うのかと少々驚いた。 少しだけ浮いているシックスパックも少し力むと隆起する力こぶも全てを受け止める二段構えの脹脛もあの頃と比べると本当に貧相だった。 カーブはもうもっさりしているだろう。 シュートはどんよりしているだろう。 ストレートはフワッとしているだろう。 大谷も清宮もイチローも「良い球を投げますね」しか言わないだろう。 野球教室の子どもに語りかけるように。 もう驚かせることもない。 ファミチキかエルチキか知らないが、あんな高カロリーのものを食べることも信じられなかったが。今では平気で3個も4個も食べられてしまう。 それでも酒を飲みに行くと毎晩誰かと寝られてしまう。 どうやら自分はそれができるほどの容姿と身体を持っていたらしい。 習慣で筋トレは続けていた。 一人暮らしの部屋には筋トレ道具が増えていった。 野球を続ける意味も身体を鍛え上げる意味もなかった。 身体を鍛えたのは女と寝るためだった。 あの頃の肉体には戻らないが、それでも女が喜ぶ身体と雰囲気を保つために努力はするべきだとどこかで考えた。 LINEには友達の登録件数が表示される。 549名だった。 半分は知らない。 残り半分も顔と名前は一致しない。 誰も知らない。     
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