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あと一枚で何回目か分からないパーフェクトになると思いながらも、自分の限界を同時に感じていた。
「ねぇねぇどうやって殺したの? おじさん誰にも言わないからさ」
腰の回転は悪い。
踏み込みの幅の修正は出来ている。
肘の高さも悪くない。
少なくとも最後の的を射抜くには支障はない。
「ムカついた? 寝取られたの? ねぇってば」
上手く、体の動作が機能した。
ボールがそのメカニズムに乗っかり、綺麗に運ばれる。
あ、これは行った。
やった、もう一回ストラックアウトが出来る。
「一丁前に無視かよ? オィ」
「すいません、パーフェクトです」
あ、はい。と店員が鍵を持ってブースにやってきた。
その店員を記者が静止して、言葉を紡ぐ。
「オィ、人を殺しておいてその態度はないんじゃないのか?」
あの・・・、と言いたげな店員の戸惑いをよそに早く次のゲームに移りたいのだがというメッセージを視線で伝えた。
「テメェ、舐めてんのか?」
その記者に、邪魔です、とだけ伝えて狼狽えている店員に次のゲームを促した。
店員は迷った手つきで鍵を回す。
プレイボールと機械の声が響き、ローラーが空回りするような不安を煽る音を鳴らす。
しかし、その空回りの音の後にはしっかりとボールが送られてくる。
その間が良い集中状態を作ってくれる。
「オィこらテメェ!!」
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