side B

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 side B

 ――「え、えっと、……思い出し笑いです!!」  顔を真っ赤にして言った女子を思い出し、俺は思わず笑みをこぼす。 「何笑ってんだよ。気持ち悪ぃな。今日何度目だ?」 「悪ぃ悪ぃ」  思い出し笑いばっかりしている変な人は俺だな。 「次リレーだろ? 余裕だな、龍臣」  そうだったと思い出す。他人からは意外だと言われるが、実はあがり症である俺。なのにすっかり忘れていた自分に驚く。このハチマキをしていると何だか調子がいい。 「最後の競技だし、頑張るさ」  言いながらハチマキをしめなおす。 「そういや、そのハチマキの刺繍の早坂さんって、あの早坂さん?」 「ああ」  気になっている女子の早坂サン。  ――「う、うん! がんばる!」  俺を見上げてそう言った彼女の顔が浮かぶ。いつも一生懸命なところが、なんか可愛いと思う。 「よかったな、ハチマキ」 「ああ」  俺は満面の笑みを浮かべて返事をした。                                 了
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