3人が本棚に入れています
本棚に追加
side B
――「え、えっと、……思い出し笑いです!!」
顔を真っ赤にして言った女子を思い出し、俺は思わず笑みをこぼす。
「何笑ってんだよ。気持ち悪ぃな。今日何度目だ?」
「悪ぃ悪ぃ」
思い出し笑いばっかりしている変な人は俺だな。
「次リレーだろ? 余裕だな、龍臣」
そうだったと思い出す。他人からは意外だと言われるが、実はあがり症である俺。なのにすっかり忘れていた自分に驚く。このハチマキをしていると何だか調子がいい。
「最後の競技だし、頑張るさ」
言いながらハチマキをしめなおす。
「そういや、そのハチマキの刺繍の早坂さんって、あの早坂さん?」
「ああ」
気になっている女子の早坂サン。
――「う、うん! がんばる!」
俺を見上げてそう言った彼女の顔が浮かぶ。いつも一生懸命なところが、なんか可愛いと思う。
「よかったな、ハチマキ」
「ああ」
俺は満面の笑みを浮かべて返事をした。
了
最初のコメントを投稿しよう!