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恋~自覚・告白~
恋ってなんだろうか。
私は十六年の間で人を愛おしいと思ったことはないの。
恋なんてよくわからなかった。
でもね、心臓がバクバクしてその人だけを考えてしまう。
これが恋ってことであり、相手を好きということだよね?
ドクドクと心臓の音が激しくなっていく。他人に聞こえてしまいそうでとても心配だ。私はあの人を見るだけで顔が真っ赤に染まるの。
「ねぇ、顔赤いよ? 熱でもあるの?」
違うよ。違うの。見当違いだよ。熱はあるけど、病気の熱ではない。いや、一種の病気なのだけれど、寝込むこともありそうだけど、違うのよ。恋なのよ。恋の病。
あ、あ、亜美ちゃん。おでことおでこをくっつけなくていいの。熱なんてないもの。
「だ、だ、大丈夫だよ。ね、熱なんて……な、な、ないもの!!」
キョロキョロと慌ただしく目が動いていたと思う。逃げ道を探していた。亜美ちゃんは恋愛に関してはとても積極的。人の恋愛話を聞いて、楽しむのも彼女の好きなこと。
「なによ、何か隠してるの? 佳奈」
ジト目で見てくる亜美ちゃんに私はーー。
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