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朝目が覚めて、最初に思い浮かぶ人がきっと最愛の人だ。
アラームの音に起こされ、ゆっくりと目が覚めた瞬間にああ、夢かと思った。
ほら、今日も朝一番に考えたのは君のことだ。
はにかむような笑顔。
意地悪なことをしたとこの嬉しそうな顔。
怒った時のむくれ顔。
ー…好きだ。
「…おはよ」
なんとなく、声に出して挨拶をした。
朝ご飯。
あまり朝はしっかり食べないけれど、君のことを思い出すとついつい作りたくなってしまうので、最近は毎朝作っている。
トーストに目玉焼き、カリカリに焼いたベーコンにトマト。
マグカップには少し甘めのカフェオレ。
テレビをつければ、占いをやっていて双子座は5位だった。
今日の君の運勢はそこそこらしい。
少し抜けているところのある君だから、占いの通りに慎重に行動した方がいいと思う。
君のラッキーアイテムはオレンジのハンカチで、持っているかなと思考したら、そういえば君にもらったことがあるなと思い出した。
ご飯を食べてクローゼットの中の棚を開くと、淡いオレンジのハンカチは綺麗にしまわれていた。
それを、Yシャツの上に置いた。
忘れないようにしよう。
いってきます、と一言いって家を出る。
家から駅まではそう遠くない、徒歩3分の素晴らしい立地。
こんな高いところ、と君は言ったけれど決して安月給ではないので大丈夫と笑ったなと思い出す。
君は電車でたっているのが好きだった。
別に混む路線でもないのに、なんで立っているのかを聞けば、電車の揺れに身を任せるのが好きなのだと言っていた。
正直、よく分からないけれど君の好きなことは自分も好きになれるように努力しようと思う。
駅から会社も決して遠くない。
歩いて5分のところにある大きなビルのいくつかのフロアを占めるのが、勤めている会社だ。
電車では立っているのが好きという変わり者な君も、さすがに会社のビルはエレベーターを使う。
おはようございます、と挨拶をしてフロアに入るともう同期たちは仕事を始めていた。
どうやら、自分の担当していないプロジェクトが今正念場を迎えているらしい。
君は仕事熱心だから、あまり無理はしてほしくないけれど、意地を張って休んでくれない。
そういうところも好きだけど。
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