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直人は少女を抱え自然落下に身を任せた。どうせ落ちるなら赤毛の少女だけを救おうと思ったのだ。 直人の目に光るモノが入ってくる。少女の腰のポーチの中に光るワイヤーを発見したのだ。
腰のポーチの中からワイヤーをつかみ出す直人。同時にサンシャイン100のビルに向かってワイヤーの 先端についた釣り針のような物を投げる。
しかし釣り針は同時に展望台から落ちた人間の身体に引っ掛かって邪魔されてビルには引っ掛からなかった。 直人が目を閉じて南無さんと祈る。同時に赤毛の少女が展望台から落ちた人間を軽く地面に向けて蹴った。
蹴られた人間は加速して地面に向けて落ちてゆく。少女は再び気絶した振りをするが同時に軽く直人を揺り動かし 目を開けさせた。
直人はさっきまでビルとの間にした人間がいなくなっているのに気づいた。同時に釣り針をビルに向かって投げる直人。 今度はビルの窓の隙間に引っ掛かり二人の落下にブレーキが係り始めた。
「うおおおおーーーー!」
ワイヤーを必死に保持するのに手が引き千切れそうになる直人。そしてワイヤーにつられた二人はサンシャイン100の前に 造られた大きなクリスマスツリーに巻き付き始めた。サンシャイン100が建設記念に作られた超巨大クリスマスツリーだ。
ビルの30階までツリーで隠れている。それくらい巨大なのだ。
それから数分の時間が過ぎた。二人はツリーに吊るされ救助を待つだけである。直人は少女をよく見ると とても可愛いことに気づく。そして彼は一目惚れしてしまった。
「あ、あの…。俺、城 直人って言います。あなたの名前は…?」
下手な口説き文句が直人の口から出る。少女はそれを聞くと少しくすりと笑うと、こう答えた。
「可愛…。可愛 恋(かわい れん)です。よろしく☆」
二人は身を寄せ合い少しぎこちなく直人がリードする。しかし、その二人の下では恋が下に蹴りこんだ人間を 救う為の救急車が騒がしく走りまわっていた…。
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