プロローグ。開幕、直人と恋。

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◎この作品をキャラクターデザインしていただいたH.アリア様に捧げます。 〇リスキーゲーム〇  コツコツコツ!  足音。闇の中を疾走する小さな者がいた。それは小柄で豹のように速く動いてゆく。  「おい。新しい拳銃が手に入ったぞ。これで俺たちのチームも安泰だ!」  その声が聞こえるとともに小さな者が身を隠し立ち止まる。  小柄な者の前にはドラム缶がある。それで身を隠し声の主たちに見つからないようにしているのだ。  拳銃を手に入れた者たちは三人。全員若者で入れ墨を掘っている。  同じ形の入れ墨である。逆さ十字の入れ墨。暴走族のチーム『ベルゼブブ』だ。  ベルゼブブは最近暴力団との抗争が激しくなり武器を求めている。  その為の武器調達の現場である。現金と拳銃が手早く取り引きされ、さながら映画の マフィアモノの1シーンのようである。  「ところで最近連続殺人犯ジョン・ザ・リッパーの動きはどうだ…」  拳銃を握り珍しそうに眺めている一人が聞いた。最近、連続殺人が多発しており この区画では特に死人が多く出ている。  皆早くここから立ち去りたいのだ。  「大丈夫だ。俺達にはハジキもある。商品ではあるが最悪コレを使ってジョンを 撃ち殺してしまえば良いさ」  一人が凄みながら言った。この男には殺すのは躊躇する必要のない行為のようだ。  今まで幾人も殺してきた人間。それが凄みへと繋がっている。  「さあ金も入ったし今晩は血のしたたるステーキでも食べて寝るかな?」  取り引きでが手に入ったディーラーがつぶやいた。この男の血の意味は 人間の血かステーキの血かよくわからない。  それくらい人間を撃ち続けている。危険人物だ。  【血のしたたるステーキ。わたしにもくれないか??】  小柄な者が、そこにいた。そして小柄な者が光る物を一振りすると黒い液体が 頭の上に引っ掛かった。  それを手で拭うと…。血だ。黒く見えたのは暗闇だったからだ。  生温かい血が辺りにも飛び散る。  【武器密輸の刑でお前たちの死刑をする…】  暗闇のなかから電子音の声が聞こえる。小柄な全身黒い服をきた者から、その電子音は 聞こえた。どうも声を聞かれては困るらしい。  ステーキ男がバタンという音とともに地面に倒れて息絶えた…。
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