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銀色の牙から赤色の染料が滴り落ちる。その染料とは血であり 恋と言う少女にとっては甘い香りを運んでくれるオーデコロンのような物なだった。
「うーん。甘い血の香り。 サイコー☆」
恋と言う少女は背伸びをすると無邪気に飛び跳ねはじめた。
「な、何なんだ。こいつは!?」
ベルゼブブの最後のメンバーも動揺を隠しきれない。 こんな奴に仲間が一瞬にして殺されてしまったのか、と思うと怒りが 満ち溢れてきた。
その男はゆっくりとグロックに向かって歩きはじめる。恋はまだ気づいていないようだ。 恋は油断して完全に後ろを向いて飛び跳ねてしまっている。
まるで殺してくださいと言っているかのように。 しかし…。
「おじちゃん。止めたほうが良いよ。私には後ろにも目があるんだ☆」
それと同時に男は拳銃から弾丸を発射した。辺りに乾いた銃声が響きわたる。
「ふざけるなー!」
男は叫んだ。恋と言う少女を殺してしまえば全てが終わる。そう考えたのだ。 しかしダダダと言う足音が頭上から聞こえてくる。
なんだ!?と男が見上げると恋が頭上のビルの壁を駆け上がっているのが見えた。
「人間か?! こいつ!」
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