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恋がビルを駆け上がるのを止めると自然落下に身を任せ落下してくる。 その無謀な行為に男も呆れる。これでは銃弾の回避ができない。 所詮は身体能力だけの子供かと男は油断してしまった。
男は銃弾を的確に発射すると胸で十字をきった。しかし恋がこう言う。
「まだ、この世とお別れは嫌かな☆」
そう言うと恋は空中で変な方向へと曲がる。それは手品のようだった。 自然の法則を無視し空中で方向転換したのだ。
「うわあああ! なんだ。こいつ!?」
男は恐怖で叫ぶ。しかし恋の手をよく見ると細いワイヤーのような物を握っている。 そのワイヤーが月夜の明かりによって妖しく光っている。
手品のネタが分かってしまえばなんともないとばかりに拳銃で頭上をガードする男。 しかし少女は不敵に笑っている。
ガシッ!
男の上に恋が落ちる。その音が辺りに響いた。そして恋が腕力で男が持った拳銃を はがし始める。
「ふ、俺の腕力はチーム1なんだ。甘くみたな!ジョン。年貢のあさめ時だ!」
キリキリと腕力で恋の腕を引きちぎろうとする。しかし恋の不敵な笑みは変わらない。 その笑みが男の怒りをかった。
二人で腕力の押し合いが始まった。大男と小柄な恋。すぐにそれは大男に軍配が上がるように 見えた。しかし。
辺りに血液が飛び散る。千切れた腕が空中に飛んだ。 それは細い恋の腕かと思えた。しかしそれは違った。飛んだのは大男の腕だったのだ。
「わたしの腕力はヒグマ並みなんだよ☆」
男は両手の無いことに気づく。
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