なんでもない恋のお話

4/6
前へ
/6ページ
次へ
部活の後、その気になる人と一緒に二人っきりで帰った。と言っても途中までだけれど。 相手に少々のよそよそしさを感じながら。 それからの記憶は細かいところは飛んだ。 ただ、気がつけば告白されて、僕が「付き合おうか」と切り出して── 気がつけば心があの子色で満たされていて。 そんな感じだったと思う。 家に帰り、枕に顔を埋め、涙を隠して。 急展開に若干ついていけていない自分を放っておきながら。 『今日はありがとね 明日どっかで会わない?』 スマートフォンのメッセージアプリを起動させそう打ち込む。 『こっちこそありがとう どこで会う?どこでもいいよ』 こうして互いに人生初のデートにのぞんだ。 たくさん会話をした。笑いあった。見つめあった。手を繋ぎあった。 互いが互いに初めてだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加