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隊から伊東が出て行くと、おこうがするべき仕事はほとんどなくなった。
たまに深雪が来て、小遣いをせびってむしり取って行く。五百両の行方を聞いても、無視される。
妾宅での暮らしぶりなどをいくつか聞かれるが、特になにもするな、近藤を見張っていればいい、それだけしか言われていない。
「今は動けへん。せいぜい近藤をたぶらかすんや。惹きつけて惹きつけて、おこう自身が近藤の足枷になればええ」
深雪は、おこうを蔑んだような笑みをして見せた。
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