いつの日かこの作品がミステリーになる事を祈って

1/11
前へ
/11ページ
次へ

いつの日かこの作品がミステリーになる事を祈って

 …――僕は僕の中にいる彼にお礼をお返ししなくてならない。  だからタイムマシンを完成させる。  詳しくは。  話を過去に戻す必要性があるんだ。  今から3年と少し前。僕は、ある研究者と共同で過去へと行くタイムマシンを作っていたんだ。ただし共同研究者は研究者とは名ばかりでお金を出資してくれていただけの男だった。つまりお金は出すが研究の一切合切は僕任せという人だったんだ。  いや、逆にそんな状態だったからこそ僕は僕のペースで研究を進める事ができたんだ。  むしろ、お金を出してくれて一切口を挟まない共同研究者の彼には感謝していたんだ。彼のおかげで僕はのびのびと研究ができたとも言える。もちろん彼は研究に必要なお金をどんな大きな金額だろうと嫌な顔をせず、なにも言わずにぽんと出してくれた。  その意味でも彼には感謝していた。  でも唯一の不満は……。  彼は過去へ行くタイムマシンが完成すれば、お金になると考えていた事だった。  そんな彼のもっとも大きな特徴は左小鼻の上の大きなほくろ。  小鼻の上にほくろがある人は仕事運が良い人とされ、金運的にもベストらしい。  カネが好きな彼らしいほくろの位置だといつも思っていたよ。  とにかく、そんな関係の僕らが完成を目指したのは、過去へゆくタイムマシン。  詳しくは省くけど未来へ行くタイムマシンは実現可能なんだ。  実際にタイムトラベルした人もいる。  これは真実。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加