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「大丈夫だよ」
僕らは一緒に目を開けた。
同じ夢を見たことをふたりは知らない。
だけど、僕は知ってしまった。聞こえてしまった。
妹が死んでしまったこと、それがストーカーの所為だってこと。
それだけじゃない。思い出した。
あの時僕は川で遊んでいたんだ。
妹が影でイジメられていたことも知らず。
「大丈夫だよ。私、元気だもん!」
僕の前ではずっと笑顔、「大丈夫だよ」「元気だよ」
美桜の哀しみはわからないまま、亡くしてしまった。
美桜は川に飛び込んだんじゃない。
川で遊んでいる僕に助けを求めたんだ。
それの確証はないけれど、なんだかそんな気がするんだ。
「お兄ちゃん!!」
ふと川から橋を見上げた僕は見てしまった。
「ごめんね! 今まで黙ってて……っ!」
「私、ずっとお兄ちゃんのこと……愛してた!!」
ドンッ!!
そんな美桜の背を押す者がいた。
それが……。
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