「僕のストーカー」

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僕の家は、世界で一番お金持ちらしい。 なぜなら、このバーチャル世界の聖母(マザー)を作ったのが、科学者の父と、その助手の母だから。 だけど、それは幸せとイコールではなかった。 ふたりはいつも忙しそうだし、友達が欲しくても、皆お金目的で、本当の友達なんていなかった。 『優(すぐる)、今日ハ誕生日。17歳ノ誕生日』 今、僕がベッドの上に座り、腕に抱いている白猫型ロボットの美桜(みお)は、10年前から、僕のストーカーをしている青年が、僕の興味をひこうとしてくれたものだ。 ストーカーは自分自身の名を何度も押し付けるように言ってきた。だけど、僕はずっとストーカーと呼んでいる。 目元まで隠れたボサボサの長髪で、かなり華奢で、背が高い。以前は学生服だったけど、10年経ってスーツ姿。 ストーカーと言うことをのぞけば優しいし、いい人。 ストーカーは命の恩人だった。 7つの僕は、あらゆることにストレスを感じ、川に飛び込んだ。その時、人工呼吸をし、生き返らせてくれたのが、ストーカーだった。 「ど……ぉ、して」 息を吹き返した後、僕はただ呆然と呟いていた。
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