「僕のストーカー」

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戻ってきたストーカーに、バーチャルオフ(現実世界に戻ること)をすすめられた。 「でも……」 「でもじゃない。リアルの薬を飲むためには、バーチャルオフしかないんだから」 僕は、仕方なくバーチャルオフ。 そこには僕と、ストーカーと喋らない白猫。 美桜は、バーチャルでしか喋れないのだ。 以前、僕の所為で、喋る猫だった美桜は、喉を傷つけられてしまったから。 「金だ、金だよ。ほら……。アンタの可愛い美桜が傷つく」 「美桜を離せ!!」 その時僕は目隠しをされていた。 学校帰り、誰ともわからない男達に囚われ、車に乗せられたのだ。 黒い高級車だったと思う。 「可哀そうだな。アンタ、見捨てられたんだよ」 「煩い!」 「……ほら、早く」 「わかったから!」 その時、傍にストーカーはいなかった。 家族が危篤だったらしい。 「ごめん……」 帰ってきたストーカーは、今にも消え入りそうな声で、そう呟き、目隠しを外してくれた。 「……もう誰にも!」 それからだと思う。やけに、くっつくようになったのは。
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