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「夜の教会に忍び込んで、白波瀬の指に指輪をはめた。これで、永遠に俺のものになったと心から嬉しかった……そこで初めてキスして、その後、ラブホに行って結ばれた」
男は初めて同士で、ラブホで調べて動画を見ながらだったとか、伊東が床に座り込んで手振りを交えて言っていた。伊東の横に、白波瀬も座り込み、まるでヤンキーのたまり場のようになっていた。車好きだとは聞いたが、もしかして元ヤンキーだったのだろうか。タバコをポケットから取り出して、咥える姿が様になっていた。
「あんな場所に、アレを突っ込まれるとは思ってもいなかった……無理だろ、アレ。しかも最初からだぞ……内臓が口から出るかと思ったわ」
「そういうものでしょ。知らない方が悪い」
睨み合っている二人は、眼光が鋭く、喧嘩になりそうであった。これで恋人同士だったといのは、信じられない。喧嘩になったとしても、俺には止められそうにもない。
だが、白波瀬の目から伊東が視線を背けると、床に向かって話を続けていた。
「三ヵ月、それだけの期限を貰った。白波瀬の罪の意識につけこんで、同棲して毎晩、ヤッた。白波瀬はいい奴で、初めて幸せだと思った。でも、期限付きだったから、幸せだったのかもしれない」
「……伊東の母親を死なせたかもしれない。俺が黒い羽募金を教えたから、伊東の妹が消えたのだと、俺は罪の意識で一杯だった。だから、伊東に抱かれた……それしか、出来なかったから……」
互いに、暗い思いはあったのかもしれない。だが、互いの本音を聞きながら、微妙に眉間に皺が寄っていた。
「……同棲で幸せだっただと?毎日、飯をどちらが造るかで喧嘩だったでしょ。それに、毎晩、毎晩、ヤリやがって……仕事に支障が出たよ……」
「そういうものでしょ。それに新婚は、毎晩したいものなの」
白波瀬は、見た目に反して、キレ易い方だったらしい。伊東の襟首を掴んで怒っていて、殴ろうとしていた。でも、伊東は平然として、白波瀬を睨んでいる。
「毎晩、俺の腕の中であんあん鳴いていて、可愛かった」
「……うるさい」
白波瀬が真っ赤になりながらも、伊東を睨んでいた。
「どういう展開なの、コレ」
俺は展開が分からなかった。そこで、寒河江に説明してもらい、やっと意味が通じた。喧嘩はしているが、基本、仲のいいカップルらしい。
「……でも、終わりがやってきた」
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