第二十一章 黒限ノ夢

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「白波瀬さんは、車に細工をして事故死させていた。伊東さんは、白波瀬さんの望み通りに車で死ぬ事を優先させましたけど、本当は違いますよね?」 「ま、そうです。俺は、依頼を金で清算しようとしましたけど、黒い変募金に断られて、仕事を受けました」  伊東は、妹の依頼をした時に、金で清算しようとしたが、黒い羽募金はそれを許さなかった。でも、支払おうとしたということは、それだけの資金力があったということだ。伊東は、薬局の店員で、金があったとは思えない。それに、伊東が何故、薬局で働く事を選んだのかが問題であった。 「レシピを購入して、薬の精製をしていた?それで、病死させていたのですね?」 「中毒死のほうだよ。それは、黒い羽募金に関係なく、その前からやっていた」  伊東は、だから黒い羽募金に引き込まれてしまったのだ。 「伊東!そんな事で稼いでいたのか?」  白波瀬は知らなかったらしく、かなり本気で驚いていた。 「3Dプリンターで、使い捨ての銃を造るとかもしていたけどね……薬は売れたな……弱っている奴が使用すると、心臓にくるやつもあったしね。それに、感じまくって腹上死というのも作った」  だが、悪夢の中で死んでいった者もいた。 「多くの人が、悪夢の中にいるので、成仏できないのですね……」  寒河江が、ピノから出て来ない霊の理由を探っていた。 「まあ、廃人だよね。異常になってしまえば、誰の言葉を信じないから……」  悪夢の中に閉じ籠ってしまった人は、どのように成仏すればいいのだろうか。俺は、ピノを見つめてしまった。すると、ピノが瞬きしていた。 「でも、まず、ヤラせてください!」  伊東が、力強く主張している。どうも、死ぬと欲望が強くなり、性欲が増すらしい。 「そっちの部屋が空いているから、使用してもいいよ」  母屋の寝室を指差したつもりであったのだが、伊東は白波瀬を引き摺りながら、居間に行ってしまった。 「ふざけるな、伊東!どうして毎回、俺が、ケツを使わせないといけない?たまには、代われ!」 「俺はケツは無理。入れるの専門ね」  居間でバタバタと音が響き、二人が殴り合いをしていた。俺が止めようかと立ち上がると、新悟が腕を掴んでいた。 「痴話喧嘩ですよ。それよりも兄さん、ピノは兄さんに反応していますね」
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