恋と愛

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好きな人がほしいときって、あるじゃない。 恋をつくってしまうとき。 わたしには、あったの。 ただ恋をしたいっていうんじゃなくって、 かなわない恋を抱えていたり、 忘れたい人がいたり、 それはいつだって、 くるしいときで、 かなしいときで、 それを自分にも隠しているときだったわ。   そういう時のほうが、 実態として、 感覚として、 体が欲しくなるの。 好きになりたい人を、好きになれるんじゃないかって思うから。 けれど、 夢見ごこちでいるときは、 気を引き締めなければいけないわ。 うっかり起こしてしまった事実は、 相手も自分をも傷つけることになるか、もしくは 虚しくて生々しい記憶になってしまうから。 そんなことは、幾度かの失敗に教えられているはずなのにね。 それを恋の渦中にいるときには忘れてしまっているんだから、 好きだなんて あっけらかんとしたものよ。 でも、 ほんとうに大切なひととは、 ただ隣に居るだけで満たされてしまうの。
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