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彼の髪が照明のわずかな光と月明りの青白い光を中和して、金色に美しく輝いた。触れてはいけないように感じて、思わず手を引っ込める。
彼は太陽のように明るく美しい心がある。だから、夜の空気に触れられておかしくなってしまったのかもしれない。手放せばいいものの、それができないでいるのは、彼に私のような闇を強く求める兆候が出始めているから。私が手を離したら、彼の中の闇が溢れ出して、きっと壊れてしまう。
彼の体にそっと布団をかけて、もう一度ガラス戸の前に立った。
月はまだ、夜空に浮かんでいる。祈るように手を組めば、それは星だろ、とあの人が笑う姿が瞼の裏に浮かんだ。
それでも願いたかった。傍らでささやかに寝息を立てる彼を見つめて心の中で囁く。
どうか、貴方が壊れてしまいませんように。
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