side he

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 途端、彼女の輪郭がぐにゃりと崩れて、夜の闇に流動しだした。何もかもがゆるやかに捩れて、愛も悲しみも一緒くたになる。  けれど、彼女の残像だけは白く眩い光に変わって、他と交わらずに視界をすべる。煌々と瞬く光にただただ翻弄され、導かれるように意識が急激に遠のく。背中に柔らかい感触を受けて瞼を閉じる瞬間まで、俺はまだ、彼女の光に見惚れていた。  灼きついた残光に切に願った。 どうか、貴女が壊れてしまいませんように、と。
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