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side she
月が弾けたような光が夜空を走って、あの人との通話が途絶えた。見上げると月はまだそこにいて、ほっとした気持ちになる。
照明が程よくしぼられた薄明かりの部屋に視線を戻すと、彼はすでにベッドの上で眠りについていた。静かに脇に寄り、彼の寝姿を眺める。
アルコールの回った身体に下品な匂いはさせず、少しの疲労感だけを漂わせて、ベッドに身を委ねていた。首筋まで伸びたキャラメルマキアートに染まった髪が、乱れて顔半分に覆いかぶさっている。
指先でそっと除けてやると、耳の先まで赤くなった肌が露わになった。目の下にできた青い皺やクマが対照的に存在感を際立たせる。
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