第十三章 残酷な神とやさしいボク 三

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「酢豚の材料を買って帰ろうか?」  人形の中にある霊も分からないのに、松下の家で寛いでいられないだろう。 でも、五人町に行くには車が必要であった。 久住に電話をしようとすると、松下が携帯電話を掴んでいた。 「私が、帰りに寄って貰うように頼むよ。だから、それまで、部屋においで」  松下が寂しそうな顔をするので、俺も反論できない。 「……分かりました。肉は食べたくないので、魚料理にしましょう」  魚と思ったが、俺はエビが好きなので、エビ料理にしておこう。 「明海、何が食べたい?」 『やっと気付いて貰えて嬉しいけどさ、どうして、市来は俺を掴んで車を降りる のかな……俺は市来のお守りではないよ』  つい、明海を抱えてしまったのだ。 明海がぶつぶつと文句を言っているが、無視しておこう。
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