第十三章 残酷な神とやさしいボク 三

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「人は殺したいと思うだけでは罪にならない。でも、残酷な神は、それですら許さない。 やさしい僕は、全てを許すよ。ここは、地上だもの……僕らの世界は、僕らがルールだ」  小声だが通る声で、演劇がかっていた。 俺も、現世は生きている者の世界だと分かっている。 「そうだね、死んだら、菩薩様の世界だよね。でも、取引しようよ。僕は、菩薩様が欲しい。 叶えてくれるならば、新悟君を生きたままで返すよ」  新悟を生きたままで返すというのは、どういう意味であろうか。 俺は、周囲の雑音が消えて、男の言葉だけが聞こえていた。
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