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「人は殺したいと思うだけでは罪にならない。でも、残酷な神は、それですら許さない。
やさしい僕は、全てを許すよ。ここは、地上だもの……僕らの世界は、僕らがルールだ」
小声だが通る声で、演劇がかっていた。
俺も、現世は生きている者の世界だと分かっている。
「そうだね、死んだら、菩薩様の世界だよね。でも、取引しようよ。僕は、菩薩様が欲しい。
叶えてくれるならば、新悟君を生きたままで返すよ」
新悟を生きたままで返すというのは、どういう意味であろうか。
俺は、周囲の雑音が消えて、男の言葉だけが聞こえていた。
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