第十四章 残酷な神とやさしいボク 四

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 男は菩薩に嘘はつかないと言い、本名を名乗っていた。 「僕は黒羽 英(くろは えい)。家が金持ちでね、僕もいわばエリート会社員だね。 兄と父は、キャリアの公務員だけどね。僕は、どうも公務員は向いていなくてね」  黒羽は幼い頃より、神童と呼ばれていたが、それでも兄のほうが優秀であった。 一生、比べられるのは嫌になり、異なる道を歩いたつもりだったという。 「違う道に進んでいると思っていたのに、気付くと、僕を父や兄へのパイプ役として 使う人ばかりだった……」  そこで、黒羽は自分が評価される、独特の世界を構築していった。
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