第十四章 残酷な神とやさしいボク 四

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 スーパーの外に出ると、松下がしゃがみ込んで、明海と真剣に話し込んでいた。 周囲の人が、遠巻きに松下を見ているので、かなり目立っていたのだろう。 松下は、俺の姿を見つけると、嬉しそうに手を振っていた。 すると、松下を遠巻きに見ていた視線が、一斉に俺に向いていた。 「遅かったね、市来君」 「あれこれ、迷ってしまいました」  松下に心配をかけたくないので、黒羽の事は黙っておこう。 松下がレジ袋を持ってくれたので、俺は明海を持ち上げた。 「明海、太った?」  明海がずっしりと重く感じる。 『失礼な事を言うな。ちょっと成長しただけだ』  明海は缶詰を食べ放題になっているので、大きくなっているらしい。
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