第一章 人知れず咲く花

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 この死保の部屋は、倉田が小説を書く為に借りていた部屋で、 一見、何の変哲もないボロ家なのだが、実際はどこにも繋がっていない、 世界から孤立した部屋になっていた。 窓の外は、まったりとした闇で、ドアは開く事が出来ない。 この狭い空間には、時間もなく、俺達はただ死が保留になって保管されている ような状態であった。
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