天才を守り囲い育てる庭 ジュビリーガーデン

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天才を守り囲い育てる庭 ジュビリーガーデン

「やぁ、ツバサ。こんないい天気にすまないね」  彼の、あるいは彼女の言うとおり、良い朝だった。  ベッドから身を起こすより早く、枕元の黒電話に促され__『やぁディア、実はいま紅茶を入れたところでね』なんて演技めいた口調だった__私は急ぎ顔を洗って寝室棟の外、ガーデンの中心にあるサンルームへと呼び出された。 「ジュビリーさん、おはようございます。」 「ふむ、たたき起こしてしまったかと思ったけど全然眠そうではないね」  私を呼び出した主は、緑や本に囲まれて優雅に紅茶をたしなんでいた。  陽の光がたっぷりと降り注ぐ植物園のようなサンルームで一人、まるで書斎にいるかのように本の山に囲まれた姿は、ただ美しいとしか形容できず、私は今日に至るまでその性別を知ることができないでいる。 「いい天気なので目覚めの気分も爽快ですから」 「そうかい」  私はずれてきた大きな眼鏡の位置を直した。手をあててくいっと数センチ持ち上げたところで、優雅に紅茶を傾ける万能人ジュビリー=ボロウがまさか【ダジャレ】を言ったのではないかと思い至るが、数秒経ってしまっていたので、私はただ小さく首を傾げた。 「…………」 「……」     
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