出会い

4/20
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
 色々と浮かんでくる疑問と同時に、湧き上がるその若い女性への好奇心。出来れば、笑顔が見たいな。何て思い、彼女に全神経が集中してしまった。他に神経を配ることが、出来なくなってしまった時、 「勇君も隅におけないなー」  突然、ルイさんが話し掛けて来た。 「えっ、いや、別にそんなんじゃ」  彼女に神経が集中してしまっていて、ルイさんの不意な話しに、対応できない俺がいた。 「何、慌てているのよ。まっ、彼女、結構美人だからねー。勇君の気持ち、分からないわけでもないかなー」 「だから、そんなんじゃないって。けど、素的な人ですよね」 「ほら、やっぱり」 「だから、違うって」 「どう、違うのかなー。けど、彼女も勇君と一緒で、ここに飲みに来る時は、いつも一人なんだよね。殆ど下ばかり向いていて、誰とも話そうともしない。微笑んでいる所すら見たことないんだよね。まるで、何かを背負っているみたいな雰囲気なんだよね」 「何かを背負っているって?」  何となく、ルイさんに尋ねてしまった。 「やっぱり気になるんだ。話し掛けてみればいいじゃん」  俺に彼女を勧めるかのような感じになってきたルイさん。 「いや、俺はいいよ。俺の場合、本当に背負っている過去があるから」 「また、そんな事を言う。大事なのは今でしょう。今の勇君なら、全く問題ないと思うけどな」 「いや、駄目でしょう。まっとうな仕事をしていないから」     
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!