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色々と浮かんでくる疑問と同時に、湧き上がるその若い女性への好奇心。出来れば、笑顔が見たいな。何て思い、彼女に全神経が集中してしまった。他に神経を配ることが、出来なくなってしまった時、
「勇君も隅におけないなー」
突然、ルイさんが話し掛けて来た。
「えっ、いや、別にそんなんじゃ」
彼女に神経が集中してしまっていて、ルイさんの不意な話しに、対応できない俺がいた。
「何、慌てているのよ。まっ、彼女、結構美人だからねー。勇君の気持ち、分からないわけでもないかなー」
「だから、そんなんじゃないって。けど、素的な人ですよね」
「ほら、やっぱり」
「だから、違うって」
「どう、違うのかなー。けど、彼女も勇君と一緒で、ここに飲みに来る時は、いつも一人なんだよね。殆ど下ばかり向いていて、誰とも話そうともしない。微笑んでいる所すら見たことないんだよね。まるで、何かを背負っているみたいな雰囲気なんだよね」
「何かを背負っているって?」
何となく、ルイさんに尋ねてしまった。
「やっぱり気になるんだ。話し掛けてみればいいじゃん」
俺に彼女を勧めるかのような感じになってきたルイさん。
「いや、俺はいいよ。俺の場合、本当に背負っている過去があるから」
「また、そんな事を言う。大事なのは今でしょう。今の勇君なら、全く問題ないと思うけどな」
「いや、駄目でしょう。まっとうな仕事をしていないから」
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