尻治の始まり

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あんなヤブ医者は駄目だ! 別の病院に行きなさい! 更に具合が悪くなっていく旦那を見かねて他を進めると、旦那は皆が心配する思いすら鬱陶しく思っていた。 「俺は尻が痛いんだ! ちょっと動くだけでもめちゃくちゃ痛いんだ!」 「は?」 「何で黙ってた?」 「俺は尻にできたオデキを見てもらいたかったのに! 皆がそこの医者に行けって言ったんだろうが!」 「そんなこと一言でも言ったか?」 具合が悪すぎて短気になるわ、八つ当たりはするわで正直うんざり もう口も利きたくない。 「じゃあ外科に行きなよ」 と言っても、何故か 「明後日に行く」 と言って直ぐには行ってくれないし、やっと行く気になったら午後は休診で今度は月曜日に行くと言い出した。 「皮膚科でいいんじゃない?」 「でも、皮膚科だと表面だけで深くは切ってくれないよ?」 「表面じゃないんでしょ? 根深ならやっぱり外科か肛門科の方がいいんじゃないかな?」 既に目元は窪み、死相すら見て取れる旦那の姿に義母は本当に息子が死ぬかもしれないと涙を流す始末で、急いで他の病院を見つけるとあれほど病院嫌いの旦那が直ぐに連れて行ってくれと懇願した。 そこは痔の手術で有名な町病院で患者も多かった為、時間はかかるとは思っていたが、切って膿を出してせいぜい点滴を打ってもらうくらいだと軽く思っていた。
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