尻治の始まり

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ガーゼは膿で汚れ、外すと傷口にはシリコン製と思われるチューブが刺さっていた。 「これ、取ったらマズイよね?」 なるべく触らないようにガーゼだけ付け替えるがこんな事慣れていないし、傷口の位置が悪くて留めるテープがどうしても肛門 にかかってしまった。 「うんこしないでね?」 「食べてないから出ないし」 と病院に行ってくれた事で冗談を言い合えるほどになった。 チューブが外されるのにも五日ほどかかったし、休診日以外は毎日病院通い。 「今日はどうだった?」 「明日も行くの?」 「お風呂は入れるって?」 病院帰りの車の中では毎日同じ質問ばかりを繰り返す。 それなのに診察は一瞬で終わり、担当医はこれといって何も言ってくれないし、ガーゼの交換をしてくれる看護師が 「明日も来てください」 と言うだけだった。
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