最後のホームルーム

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「先生が言いたいことはよく分かりました。先生がそんなに真剣に僕たちのことを考えていたなんてびっくりです。なぜか僕もこのまま隠しごとをしたまま卒業してはいけないような気がするんです」 普段大人しい井上が突然立ち上がり、そんなことを言い出した。 「なにか言いたいことがあるのか?」 成績は良くないが、3年間、宿題も欠かさず真面目に頑張っていた井上。 「実は僕、3年間、宿題を全部お母さんにやってもらってました」 なんと! だから成績悪かったのか。 「先生、俺も言いたいことがある!」 校内一のイケメンと噂されるヤンキー坂本が立ち上がる。 「実は俺、男しか愛せないんだ」 おお!それはそれは。 女生徒から悲鳴が上がる。なんか嬉しがってる奴もいるが。うん、今のは結構爆弾発言だな。というかカミングアウト合戦みたいになってるな。 そう思ってたら、クラスの副委員長である人気ナンバーワン女子の立花が、手を上げた。 「私もいいですか?」 「どうぞ」 「実は私、男なんです」 は? 君は何を言ってるんだ? 「3年間、ずっと女装して学校に通ってたんです」 いやいや、それは。爆弾発言すぎるだろ。 俺はさらに問いただそうとしたが、ふと真ん前の机に座っている長瀬が泣いているのを発見した。 「長瀬どうした?」 「言おうか言うまいか迷ったんですが」 長瀬は泣きじゃくりながらも顔を上げた。 「実は俺、大学生なんです! どうしても高校にもう一度通いたくて、弟に頼み込んで3年間替え玉登校してました」 俺はさすがに度肝を抜かれた。それにしても次から次に出るわ出るわ。このクラスはいったい幾つの爆弾発言を抱えてるんだ? なんか趣旨が変わって来てる気もするが、まあどうでもいい。俺もまだ言っておかねばならないことがある。
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