最後のホームルーム

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「どういうことだ……?」 「私がセットしたのは時限爆弾でした。それは卒業式開始直後に爆発するようにセットしていたんです。それがまさか、あの時間までホームルームしていようとは夢にも思っていませんでした」 なんだと…… 「保護者に紛れ込んで講堂にいた私は、先生の話を盗み聞きして、3年B組がまだ教室にいることを知りました。私は状況が飲み込めず少しの間思案しましたが、慌てて教室に向かいました。私はただ無人の教室を爆破したかっただけなんです。生徒たちを巻き込むなんてそんな残酷なことは考えもしていませんでした。生徒たちを死なせてはいけない、彼らに伝えなくては!その思いで私は一心不乱に走りました」 外ではそんなことになっていたのか? 「教室の手前で校長を発見しました。声をかけて一緒に教室に入って、皆さんに伝えようとした瞬間、ものすごい爆発が起こってしまったんです」 静まりかえる教室。自分たちが死んだ状況を一人一人思い起こしているのかも知れない。 「貴様、そもそもなんで爆破したんだ?」 私は彼を問い詰めた。 「それは『手抜き工事の隠蔽』のためなんです。最近、学校の建築基準が守られているか再検査が厳しく行われていたんですが、3年B組のあたりの工事に基準外の資材を使っていたんです。そのとき、資材不足で仕方なかった面もあるのですが、当然許されることではないですよね」 彼はお手上げのポーズをする。 「もし、それが世間に公になれば、責任者の私が退職に追い込まれるだけでなく、会社自体の存続も危うくなるのが目に見えていました。だから、私はテロに見せかけて教室自体を爆破してしまおう、と計画したんです」 なんて短絡的な考えなのだ! 「今から考えると無謀な計画ですが、そのときは自分の、そして会社の保身しか考えなくて冷静な判断が出来なくなっていたんでしょうね」 そう言われると、確かにそういうこともある気がしてくる。
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