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零にはしない
呼吸も鼓動も、温度もまだある。死さえ回避できれば未来は潰えない。
今度こそ、本当に時間の問題だ。タイムリミットは、今も一刻ずつ近付いている。
だから、賭けるしかない。共に生きる為には、選択肢は一つしかない。
隣の部屋に入り、棺桶の蓋を急いで開ける。そうして現れた透明な水の中、二キの体を入れた。ニキには既に意識がなく、何の反応も示さなかった。
稼動装置の前に立ち、本で見た使用方法を思い出す。集中力を切らさないよう、手順通り、一心不乱にボタンを押していった。
隣の氷棺は生きていた。ならば、こちらの氷棺にも可能性はあるはずだ。
望みを掛け、最後のボタンを叩きつける。
どうか神さま、今回くらい、僕の味方をして下さい。
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