6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「何でそんな驚いてるんです?」
「あ、いや、何でもない」
白石は、俺のことなど知らない様子だった。
いや、実際覚えていないのだろう。彼とはあれ以降、何の会話もしていないのだから。
だから、この反応は普通なのだ。だが。
「とりあえず、マニュアルは全て頭に叩き込んであるんで、詰まったら質問させて頂きますね」
爽やかな笑顔を見ていると、吐き気がした。何も知らず笑う彼に殴り掛かりたい――いや、殺したいと思った。
抑えていた十年分の憎しみが、出口を求めて胸中で暴れまわっている。
だが、俺ももう社会人だ。そんな大人げない行動は、自らの身を滅ぼすだけだと理解している。
だから。
「分かった、何かあれば聞いて。気軽にね」
「ありがとうございます!」
俺は、復讐する。
表からじゃなく、裏からこっそりと。
コイツを、地獄に落としてやる。
最初のコメントを投稿しよう!