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誰かに呼ばれた気がして目が覚めた。
リビングへ行き、そこで寝ている母の規則的な呼吸を確認した。
ついでに足元にまとわりついてきた猫にごはんをやって、電気ケトルのスイッチを入れた。
昨晩から外に干したままの洗濯物を片付けにベランダに出る。東の空はまだ蒼く暗い。日が昇るのが日に日に遅くなっていると感じる。夜露に濡れた洗濯物をつかむと冷気が痛みとなって指骨に伝わってくる。
冷えた手を温めようとペーパードリップのコーヒーをマグに淹れた。厚みのあるマグからコーヒーの熱がじんと掌に伝わってくる。ふちを上唇に当て、コーヒーの湯気と香りを吸い込むと肺を通してからだの中に徐々に熱が広がっていくのがわかる。
ふと壁にかけられた写真に目をやる。昔、母が体調を崩す少し前に私が贈った写真だった。
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