バイバイ

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バイバイ

 幼馴染の男の子。  家が隣同士だから物心ついた時にはいつも一緒にいた。  幼稚園も一緒。小学校も中学校も一緒。ついでに高校も一緒になった。  登下校も一緒の場合が多かったけれど、新学期からはそれもおしまい。  だって『あの子』に悪いもんね。  一つ下の中学の後輩。私と幼馴染とその子と三人で仲良しだったけれど、ある時、後輩が幼馴染に憧れの視線を向けていることに気がついた。でもとてもそれを外に出せそうになかったから、いつもこっそり励まして、彼女が同じ学校に受かった報告を受けた際、告白をしなよと背中を押した。…幼馴染の方の背中を。  二人共、好き合ってるのは隣で見ててバレバレだったもの。どうせなら男から打ち明けなさいよと、彼女のお祝いに便乗して、自分の気持ちを告げさせた。  こうして、晴れて二人はカップルに。当然この春からは一緒に高校に通うのだけど、まだ私をそこに誘うから、やんわりと断った。  交際したてのカップルの側に、共通の知り合いとはいえ他の女子がいたら変でしょ。そのくらい自分達で気づいてよ。  なんて思っても鈍い二人には判らないから、こっちからきちんと邪魔にならない距離を置くつもり。  …近くで見ているのも辛いしね。  あれだけやきもきして、どっちからでもいいから早く打ち明けちゃえばと思っていたのに、何で二人がくっついた今になって自覚しちゃうかなぁ。  どっちも大切な存在だから、こんなこと絶対言わないけど、さすがに隣で幸せそうな姿は見てられないわ。だからお願い、少しだけ距離を置かせて。  少し遅く咲いた桜が、やっとくっついた二人を祝福するように風に揺れる。  ちなみに、そこから散って流れた花弁は私の気持ち。  気づくのが遅すぎて咲くこともなかった私の初恋…バイバイ。 バイバイ…完
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